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わさびの基礎知識

 古くから私たち日本人の食卓で親しまれてきた「本わさび」。“植物”として専門的な見方をすると、アブラナ科Eutrema属に分類され、学名を「Wasabia japonica Matsumura」と言います。学名に日本を意味する「japonica」がつけられているように、本わさびは日本原産の植物と言われています。研究の進化によって植物の分類や原産地の推定が変わることがありますが、最新の葉緑体ゲノム解析でも、「Wasabia japonica」は日本固有種であることを裏付ける結果が出ています。  本わさびはなかなか奥が深く、まだあまり知られていない知識がたくさん詰まっていそうですね。このコラムでは、そんな「本わさびの知られざる秘密」をお届けしていきます。



わさびの基礎知識

第六回 本わさびの美味しい食べ方

 本わさびは香りが命です。一般に、本わさびは専用のおろし器ですりおろすのが一番といわれています。せっかくの本わさびも、扱い方を間違えると台無しです。今回は、本わさびの命である香りと辛味を存分に楽しむための、美味しい食べ方を紹介します。

本わさびの美味しいすりおろし方

さわやかな本わさびの香りと、ツーンと鼻に抜ける辛味は、すりおろすことで本わさびの細胞が破壊され、酵素反応が起きた時に発生します。生の本わさびは、そのままでは酵素反応が起こらず、かじっても配糖体の苦みがありますが、すりおろすと香辛成分が出て苦みが消えます。食事前に食べる量だけすりおろし、容器に入れてふたをしたり、おちょこに入れて伏せておくと、風味が逃げにくくなります。

美味しいすりおろし方としては、本わさびは茎のついている方から、鉛筆を削るように茎を少し残して切り落とし、すりおろすのが良いとされています。茎のついている方が新鮮で香りがよいからです。そして、辛味をうまく引き出すには、目の細かいおろし器で、円を描くようにゆっくりすりおろします。

昔は、石を砕いてその割れ目ですりおろしたといわれています。美味しくたべるために、食器や道具を選ぶのも楽しみのひとつですね。

美味しい本わさびの食べ方Q&A

Q1 本わさびのすりおろしは、上から?下から?

A1 本わさびのすりおろしは、一般的には上からがおすすめです。本わさびの根茎は植物学上では茎であり、上部ほど新しい組織です。色が鮮やかで、香りが強いと言われています。一方、下の部分は古い組織で、水分が少なく淡い色をしています。何回かに分けて使うなら、下からすりおろし、残りは乾いたキッチンペーパーなどに包んで、野菜用保存袋に密閉して冷蔵庫で保存するのがおすすめです


Q2 本わさびの皮はむくの?

A2 皮の部分が最も辛いといわれています。表面をきれいにたわしなどで洗い、イボを庖丁の背で落とせば、皮はむく必要はありません。しかし、皮には苦みがあり、すりおろした時に色がやや暗くなることもあるので、好みで皮を薄くむいても良いでしょう。


Q3 部位によって辛味は違うの?

A3 本わさびのどの部分にも辛味がありますが、根茎(芋)がもっとも辛味が強いです。次に太根(根)、茎柄(茎)、花芽、葉の順です。

本わさびの食べごろ

本わさびの辛味はすりおろすとともに発生しますが、香りは比較的ゆっくり発生します。したがって、香りがピークになった時が食べごろ。また、この食べごろはすりおろし方で変わってきます。細かくおろされた本わさびの方が辛味・香りのピークが早くなります。

鋼鮫や鮫皮ですりおろした場合は1分~3分、おろし金の場合は2~4分ほどで、香り・辛味のピークに達し、美味しく感じるのはその後の10分程度です。道具やすりおろし方によって食感も違ってきますので、自分好みの食べ方を見つけるのも楽しいですね。

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