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わさびの基礎知識

 古くから私たち日本人の食卓で親しまれてきた「本わさび」。“植物”として専門的な見方をすると、アブラナ科Eutrema属に分類され、学名を「Wasabia japonica Matsumura」と言います。学名に日本を意味する「japonica」がつけられているように、本わさびは日本原産の植物と言われています。研究の進化によって植物の分類や原産地の推定が変わることがありますが、最新の葉緑体ゲノム解析でも、「Wasabia japonica」は日本固有種であることを裏付ける結果が出ています。  本わさびはなかなか奥が深く、まだあまり知られていない知識がたくさん詰まっていそうですね。このコラムでは、そんな「本わさびの知られざる秘密」をお届けしていきます。



わさびの基礎知識

第三回 わさびの育て方

 わさびの栽培には、「水栽培」と「畑栽培」の2種類の方法があります。本わさびはどちらの方法でも栽培されており、「水栽培=沢わさび」「畑栽培=畑わさび」とも呼ばれています。一方、西洋わさびは「畑栽培」のみです。本わさびも西洋わさびも、植物学的には同じアブラナ科に分類されていますが、栽培方法が大きく異なっているのが興味深いです。
それでは、それぞれの栽培の特徴を見ていきましょう。

本わさびの「水」栽培

水栽培でつくられる「沢わさび」は、最適温度が12℃~13℃で、盛夏でも16℃以下であることが望ましく、澄んだ豊富な水量が必要とすることから、日本でも限られた場所でしか栽培できません。さらに地域によってその栽培方式は異なります。

①渓流式(中国山系地方)
山口県、島根県など、中国山脈を中心に多く採用されている栽培方式。自然の渓流に砂を敷いてわさび田を作り、大きな石で苗を抑えます。築田にかかる費用が少なく、少ない水でも栽培が可能です。

②地沢式(静岡県安部川上流地方、東京都奥多摩地方)
渓流式よりは勾配が緩やかなわさび田に砂利を敷く、最も古い栽培方式。少ない湧き水を十分に利用したものですが、生育にはむらがあります。

③畳石式(静岡県伊豆半島天城山地方)
傾斜地を段々畑にして栽培する方法で、勾配が緩やかなので管理作業の効率が高くなります。豊富な水量は必要ですが、通気性が良いので生育が早く、最も進化した様式と言えます。

④平地式(長野県南安曇地方)
河川に沿って平坦地を1~2m掘り下げ、畦を作って植え付け、川床や河川敷の下を流れる伏流水を利用します。夏季の高温では冠水による被害を受けやすく、寒冷紗による被覆栽培を行います。

本わさびの「畑」栽培

 畑わさびは、水中ではなく山間の畑で栽培されます。特に、林間などで栽培するものは、林間わさびと呼ばれています。わさびの生育は、年中温度差の少ない湧き水が適していますが、畑栽培も水分が留まらない土壌で、夏は涼しく冬は暖かい場所などの条件が必要です。
冷涼で適度な湿気を好むため、栽培地には桑園、梅園、柿園など、日陰を作ってくれる木々を利用してきました。最近では、スギやキハダの林などを利用するのが増えています。

西洋わさびの栽培

 西洋わさびは、明治の初めに欧米より北海道に導入され、日本各地に広まりましたが、一般野菜として普及することはありませんでした。しかし、この植物は繁殖力が強く、日本で野生化したため、帰化植物として認められたものです。
西洋わさびは種子が出来にくく、根で増殖します。寒さに強いことが特徴のため、原産地であるヨーロッパの気候に似ている北海道が栽培に適しており、国産品のほとんどは北海道で栽培されています。

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