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わさびの基礎知識

 古くから私たち日本人の食卓で親しまれてきた「本わさび」。“植物”として専門的な見方をすると、アブラナ科Eutrema属に分類され、学名を「Wasabia japonica Matsumura」と言います。学名に日本を意味する「japonica」がつけられているように、本わさびは日本原産の植物と言われています。研究の進化によって植物の分類や原産地の推定が変わることがありますが、最新の葉緑体ゲノム解析でも、「Wasabia japonica」は日本固有種であることを裏付ける結果が出ています。 本わさびはなかなか奥が深く、まだあまり知られていない知識がたくさん詰まっていそうですね。このコラムでは、そんな「本わさびの知られざる秘密」をお届けしていきます。



わさびの基礎知識

第八回 わさびのチカラ〜抗菌・抗寄生虫作用〜

 私たちがよく食べる刺身には、昔から決まって本わさびが添えられています。それは、薬味としての味わいを楽しむ以外にも、本わさびに含まれる抗菌・抗寄生虫作用があるからと言われています。先人たちは、この機能性を経験から学び、現代に伝承していったのです。今回は、その2つのチカラについて紹介します。

本わさびの抗菌力

本わさびや西洋わさびの芥子油類は、それぞれ十数種類ほど含まれていますが、その中の多くの成分に、抗菌活性があることがわかっています。これらの成分のうち、桁外れに多く含まれている「アリル芥子油」は揮発性の物質ですが、ガス状態の時に抗菌活性が強く、防腐効果を発揮します。ある実験では、大腸菌、腸炎ビブリオ菌、サルモネラ菌などに対して、広範囲に抗菌活性を示しました。また、細菌だけでなく、酵母やカビに対する作用も強く、さらに広範囲の菌類に作用することも証明されています。

今では、本わさびの辛味成分をシートもしくはラベル状に加工し、この強い抗菌作用を活用した食品保存の包装資材、日持ち向上剤などが商品化され、弁当、惣菜、パンなどが輸送中に腐らず、品質を保つために使われています。

しかし、「アリル芥子油」がすべての微生物に効果があるというものではありません。完璧な殺菌というよりは、静菌レベルのものであると受け止め、効果を過信しないことも大切です。

本わさびの抗寄生虫力

寄生虫「アニサキス」に対しても、本わさびの成分「アリル芥子油」の効果が調べられています。「アニサキス」は、サバ、アジ、サンマ、カツオ、イワシ、サケ、イカなどの魚介類に寄生する寄生虫です。

ある実験では、

・ねりわさび

・粉わさび

・本わさび

の3種類の本わさびをそれぞれ0.5g、2.0gずつ、0.4%の食塩水でよく溶かし、その食塩水にスケソウダラ内臓より採取したアニサキス幼虫を入れ、どのくらいの時間で動きが弱まるのかを観察しました。すると、すべてのアニサキス幼虫が動きを停止させたのです。これは、本わさびの「アリル芥子油」に寄生虫作用があるということを証明していることになります。

しかしこの実験は、使用した本わさびが普段刺身につける本わさびよりも量が多く、アニサキス幼虫が、一定の時間アリル芥子油の中に浸かっていたというもの。したがって、刺身のような生ものを食べる時に、大量の本わさびを表面につけるだけでは安心はできません。効果を過信せず、鮮度のよいものを食べることが大切です。

参照サイト:三和食品株式会社「わさびの優れた殺菌性

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